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冬コミのあれそれですよ!

ひーー!

M3のご挨拶もままならず気づいたら冬コミですよ!!!!
ええとええと、新作ちゃんとご用意できました!色々簡素だけど副読本は頑張った!!!!
その他もろもろは公式サイトをチェックしてやってくださいー

あとカナリズアカウントもできたのでそっちをフォローしていただけますと進捗状況とか分かりやすいと思いますーどうぞよろしくー!
検索方法は多分カナリズで大丈夫。

【冬コミ】
12/29 東チ28b カナリアリズム

迷夢アタラクシア(ゲーム)
迷夢アタラクシア副読本
迷夢アタラクシアBGM集

の3点が出ます。旧作も搬入予定です。(MTP関係のみ)
CDで出ている迷夢アタラクシアのゲームや本ですね。
ちなみに私が担当しているゲームOP、EDのショートverがBGM集には入ってます。
ゲーム中でもあほみたいに何度もEDが流れるので(笑)
みみたこになるくらいきいていただけたらうれしいです。すっとばせるんで聞かない人が多いと思うけれど(笑)

ロングフルが聞きたい場合は「迷夢アタラクシア」(CD)をご購入下さい♪
各キャラクターのイメソンというか、ゲームに沿った情景が聞けるはず!
ゲームプレイ後に聞くといい感じにあーってなるとおも、思います。

あと副読本にイラスト2点描き下ろし致しました。
私が翔や鷹介や秘書たちを描くことってないのでちょっとレアです!
構成や文章は変わらず頑張りましたのでこちらも目を通していただけたら嬉しいです。

ちなみにこれ一応BLゲームなので、ほんのりとでもそういう描写があるのが苦手な方はまわれーみぎーです。ちゅーくらいなので、なんかもう外国人の挨拶レベル。

詳しいお話は公式サイトのブログやツイッターをチェックしてやってくださいね。

今回は1日目ですので、3日目の音系ではありません。
みんなに会えないのが至極残念だけれど、また春に(スペースがもらえたら)
M3あたりでお会い出来たら嬉しいです♪

どうせ書けないと思うのでここで。

2016年もお世話になりました。皆様のおかげでこうしてまだゆるゆると同人活動が出来ております。
2017年も変わらず、ふわっとしたペースではございますが頑張ってまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

年に2回もCD出してるやつはゆるっとしてねぇっと各方々で言われた小鳥遊まこ。
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M3の新作はH08aにいますよ!

さあさあM3が近づいてまいりましたね!
M3のいろいろはまだだいぶ残っているのですが(笑)

さてさてまたしても何も更新しない病が再発しそうなので
そっと更新しておきます。
(この記事を書いたのは4日前です…すっかり忘れてました)



【M3新作情報】

http://canariz.tumblr.com

H08a カナリアリズム「墜想メサイア」

CDは全6曲入りですが、アンケートに答えると1曲まるっと
プレゼントいたします(ただしまだ曲は歌ってません。この一か月、風邪で喉やってしまって、やっとこさ戻ってきたんです実はげふー)

というわけで、対想サタイヤの対のメサイアちゃんです。
残りの王様、ということで5人どーんとお迎えしました。1人足りてない?
乙葉の担当区分は?と疑問もあると思いますが、意図的に足りていないので気にしてはいけません。乙葉ごめんね。

同時に本も発行予定でしたが、こちらは時期をずらしてになります。
発行するめどが立ちましたらまたご連絡させていただきますね。

さてさて楽曲ですが、どの曲がどの王様かしらというのはこちらのPVでご確認くださいませ!秀逸な影絵がお出迎えですわーい!




分かりましたでしょうか?衣お前曲ないねって感じですが
今回の戯曲はどちらとも新規二人をちょっとだけスポットしているので
許してください。楽曲は衣イメージなので今回の戯曲は明るいよ…!

そんな明るい戯曲なんて戯曲じゃないわ…と妹にも散々嘆かれましたが
楽曲トータル視聴はこちらでどうぞ!



歌詞はいつも通りの戯曲です。
戯曲の成分は1曲目に集約された感じで。

**

今回のメサイアという意味ですが分かりやすく「救世主」です。
誰がどう救ったんだって感じですが、王様たちはドヤ顔で自分たちのことを
さすと思うので、そのあたりはお察しです。
楽曲は聞いていただければ分かると思いますが、サタイヤよりもクセがあり
キャラクターの個性に割り振った結果、バライティに富んだものとなりました。
いつも作曲を担当してくださる方々には感謝の言葉もありません!ふるふる!!

ごしごし…塚越さんの担当してくださったキャラクターはおさっしですが
楽曲もキャラのゆがんだ感じを見事に曲に落とし込んでくださって
節々にクセがあって、とっても素敵な楽曲に仕上げてくださいましたぞ!
鳥島の歌詞もこれまた皮肉リティ溢れる素晴らしい歌詞でした。歌ってて楽しかっ
た!

りみゆちゃんの担当してくださったキャラクターは色々ともう作り済みなのですが
今回はまた違った切り口でのアプローチをしてくださって、これがまたステキ!
澄んで清らか、とは違う倒錯的でこちらも深淵を見ているような感覚になるメロディ
素敵な歌詞と声にテンションを上げて歌いました。(歌的には頑張っておさえまし
た)
ぷりさんの超絶ミックスも本当に美しくて程よく混ぜてくださる魔法に感激。わー
い!

Minaちゃんの担当してくれたのは二人分。
どちらも楽曲雰囲気が全然違うのですが、綺麗にキャラクターをイメージして
あてがってくれて感激です。ちなみにぴこぴこというか、デジタルチックというかな
感じ
なのは、声にほぼ加工をかけてます。斬新。(うちでは)もう一つのジャズポップス

フレンチポップっぽいかんじで素敵ですよね。おしゃんてぃな彼女にぴったりかなと
思ったりしております。大人な感じ。アタラクシアの楽曲にも通づるものがあるよ
ね。
歌詞はどちらも私が担当しております。

七誌くんが担当してくれたのはあの子です。
和風っぽいロック、というふわっとしたお願いにえいやって答えてくれました。
カッコイイよね!お琴とかつつみとか、ふえとか、和風、これぞ和風!って
握りこぶしですよ!
いつもゲスい曲ばかり担当していただいていたのですが、七誌さんはやっぱり
明るくてさわやかな感じのほうがご本人らしいです。(人柄的に)うちでげすいの
ばっかり
作っていただいて常にごめんねって思ってたので、今回ちょっとホッとしてます。ま
とも。
歌詞は鳥島。綺麗な歌詞ですよね。個人的に紙片の海、とか色のない風とか、そうい
う単語がとってもきれいでお気に入りです。私のあほい語録では浮かばないので幸
せ!
言の葉で紡いで編んだ船とかね、是非歌詞カード見てくださいね!綺麗だから!

シロさんには戯曲を。
いつもげすいかんじの楽曲をお願いしていたのですが、今回はぴこぴこポップ!
凄い明るくかわいいので「!?」となっていただけたらと思いますが、歌詞はより直
接的になってます。対比。楽曲と歌詞は色々な意味で対比してます。よかったら歌詞
カードと一緒にきいてみてね!といいつつそこまででもないかもしれない(笑)
凪さん分身はいつもすごいなって思ってるのですが、今回は低い男凪がすごい。サビ
部分すごい。


**

という感じで。
今回も目いっぱい時間を使いめいいっぱいいろいろな思いをぶちこみましたので
是非是非お手に取っていただけたら嬉しいです!

あと、刀剣乱舞にはまってるのでさにわさんは私に話しかけていただけたら
大層喜びますよ主どの~!

Magical.do.fes ご来場ありがとうございました!

マジカルドフェスにご来場の皆様
ほんとうにありがとうございました!
マジカルドフェス(多分命名はみちるさん?)いい響きですね…!

ほんとうに皆様ありがとうございました!
私はトップバッターでバックを暖める役を務めさせていただきました。

色々反省はございますがただ、ほんとうにあったかくて素敵なライブでした!
お母様の

「あんただけね! 他の人はユニットとか曲かいてくれたとか接点あるのに
お前だけなかったねwwwwww」

と凄い可愛そうなこと言われましたが
ほんとうにそのような「え。なんで私場違いすいません」状態だったのです。が。
そんな私にも、皆様暖かくて。

楽屋でも沢山お話して下さったり声かけて下さったり。
沢山お話して下さった出演者の皆様には感謝してもしたりません。
ほんとうにほんとうにありがとうございました!

聞いてくださいました方々にも、この場をお借りして御礼申しあげます。
ほんとうにありがとうございました!
しょっぱなから、なんかもう、サイリウムも触れないような曲ばかりでごめんなさい;;

その他、沢山の反省点は次に生かすように、精進いたします。

まだまだひよっこの私には過ぎたステージをご一緒して頂きました
出演者の皆様、マジカルなサンディーな主催者様。
素敵な演奏をありがとうございました!
そしてコーラスでご一緒させて頂きました冴花さまとツインして下さったゆこちん
かわいくかっこうよい、お声を紡いで下さってありがとうございました…!!!

そして物販のお姉さんのみつきさん(ゆこちんも物販して下さいました!)
手際よくさばいてくださいましてほんとうにありがとうございました!

ほんとうにほんとうに楽しい時間でした!!
皆様ほんとうにありがとうございました!

以下、セットリストになります。


1.箱庭レーゾンデートル
2.ノンビリーバー(英語表記)
3.その道の先へ
4.処方箋アポカリプス
5.ありがとう
6.恋*花

以上6曲です。


持ち時間30分なのにぎりぎりまで詰め込むことになり
気づけばMCは1~2分しかないというおもしろ設定になりまして
早口でまいてまいての告知でした…馬鹿ですね。
次回はもっとゆったり曲の紹介などできるようにしたいなーと思っております。

改めまして
ほんとうにありがとうございました!ちなみに結婚式二次会のような服装で
全身真っ黒でしたが身内から「すっげぇ映えないから次からは白にしろ」
と服装まで駄目だしを受けたのでそろそろもうライブに出ちゃいけないのではなかろうかと
思う自分がいます。

しかしながら、12/18 マージナルトラベラーがございます!!
こちらできちんと反省点を昇華できるように、いっぽいっぽ頑張っていきたいと思います。

最後になりましたが、改めて
聞いてくださった方々、演奏・コーラスという形でご一緒して下さったMagical sand-yの皆様
1曲のためにきてくれた星名優子ちゃん、ご一緒させて頂きました出演者の皆様

ほんとうにほんとうに、貴重な時間を一緒にすごして下さいまして
ありがとうございました!!!

【M3 す04ab】処方箋アポカリプス*SS2

「ありがとう、更紗(さらさ)」

 にっこりと微笑み少年の頭をなでたのは、第十庁裁判補佐、秘書官の天沢冥だった。常備薬の点検にやってきたという少年の名前は更紗。菫色の髪と大きな目。

その表情は愛くるしく庁内で働く女性職員は働く少年の鞄にお菓子をつめてゆく。子供が偉いわね、すごいわといいながら鞄に詰められていくと、気づけば鞄は常備薬の補充分だけ膨れ上がっていた。はみ出んばかりの鞄を見て冥はふんわりと微笑む。

「今日はどうする? ちょっと休憩には早いかもしれないけれど」 

 時刻は11時過ぎ。昼食休憩には少々早く、また裁判所の休憩時間までもまだ時間があった。補佐である冥のみが11時過ぎに席を外すのは訳があり、それも更紗は重々承知でこの時間を選ぶ。

「冥さんのお茶、飲みたいですー」

 にぱにぱと笑う更紗に冥はにっこり微笑み『内緒ね?』とジェスチャーをしながら2人仲良く給湯室へと消えていった。遠巻きに見ていた職員は目の保養だと口々に呟きながらちらちらと二人を見守っている。小さな更紗と冥は髪の色こそ違うが何故かとてもよく似ていた。髪形が似ているのか有している雰囲気が似ているからかは定かではない。

 給湯室は和やかな雰囲気に包まれていた。他愛のない噂話や世間話をしながら飲む暖かい紅茶は格別だと更紗は笑う。冥は同じようにニコニコ微笑みながら冷蔵庫から取り出してきたのは薬草入りのロールケーキだった。きれいな緑色をしたそのロールケーキに更紗は目を見開き喜ぶ。

「この前更紗に教えてもらった野草とハーブを混ぜてみたんだよ」

 ティーポットの中には同じようにハーブの葉が揺らめいている。

「この前冥さんにおすそ分けしたハーブですねー。使ってくれてうれしいです!」
「うん、せっかくいただいたからね。すごくいい香りでびっくりした。更紗は本当に薬草が好きなんだね。…薬も、更紗が調合しているの?」
「ぼくは薬草とハーブを育てるのがお仕事ですー。お薬はちゃんと別の人が煎じてるのですよ?」
「そっか」

 ブレンドティはとても良い塩梅で、ロールケーキも下手な店で買うよりもずっと手が込んでおりおいしい。更紗はこの時間が好きだった。わざと裁判所が開いている時間を選び、わざと休憩時間を外して訪れる程度には。11時半頃に王の食事を用意するために席を外すことは分かっているからだ。
 他愛のない話や噂話、そして薬草や野草についてのあれこれを話しているうちに気づけば昼休憩間近になっていた。あわてて更紗は話を切り上げて席を立つ。もうすぐ裁判所も休憩時間だ。

「冥さんご馳走様でした! 僕はそろそろいくですー」
「あ! もうこんな時間…ごめんね、今日は薬ありがとう。またね」


 そういいながら慌しく裁判所へと駈けてゆく冥とは反対方向に更紗もまた駆け出した。



「あっぶないあぶない。冥ちゃんと茶ぁしばいとるとこなんて見られたら舌ひっこぬかれてまうわ」

 特有の変なイントネーションと方言を交えながら、愛らしい少年は艶やかな赤色の着物を纏った青年へと姿を変えた。
 裁判を終え、昼休憩に入った王は黙ったままだった。表情は曇り、明らかに機嫌が悪い。冥は苦笑しながら食後のお茶を用意している。

「…誰がいたの。今日、客人が来る予定は無かったけど」

 疑問符で終わっていない言葉は断定的で、冥は静かに笑いながら言葉を紡ぐ。

「お薬屋さんですよ。ほら、更紗…」
「あああのマセ餓鬼もどきね」

 とげのある言葉の意味に冥は不思議そうに王を見上げるが、その意味を口にすることは無かった。

「裁原さん、やけに更紗のこと嫌いますね」
「嫌う? 嫌いじゃないよウザイだけ。人の家に勝手に入ってきて私より先に冥くんのおやつ食べてるんだけど。しつけのなってない野良犬って嫌いなんだよね私」

 早口でまくし立て、昼食に用意された蕎麦をすするその表情は明らかに嫌悪が含まれており、言葉そのままの意味であることは明らかだった含みはない。自分の城に我が物顔で入りやがってあの野郎、という身もふたもない話なのだが、冥は特に不快感を露にする訳でもなく冷蔵庫に入れておいた抹茶チョコを取り出して男の前に出した。

「午前中は裁判お疲れ様でした。中間休憩まであと少しですから」
「…先にあのガキが食べた奴なんて出す気?」
「出す気ですよ。せっかく裁原さんのために作ったのに、そういうこと言うんですか?」

「………」

 冥はやんわりと毒を吐きながら笑う。こんな風に十王最高権威をもつ王に意見を言うことは同率の十王ですら難しい。
 それでいて、他人の気分を害さない程度を無意識か意識的かは分からないが心得ているので、始末に終えないと王は心の中でごちた。大げさにため息をひとつついて出された抹茶チョコレートを頬張る。口どけ滑らかなそのチョコレートはほろにがく、午前中に使い果たしたやる気を少しだけ回復させた。脳みそまで浸透するような甘みは俗物的な甘味調味料特有の甘さではなく天然物。上品なその味は王の好きな味だった。

「…まったく、君は本当に腕利きだね」
「恐れ入ります」

 仰々しい言葉は含み笑いによって台無しになるが、部屋の中は和やかな空気に包まれた。先ほどまでのギスギスした雰囲気を吹き飛ばしたその手腕こそ、冥が第十庁に無くてはならない存在であるという証なのかもしれない。

【M3 す04ab】処方箋アポカリプス*SSその1


以下はM3の待ち時間にお暇で見るものもないじたんばたんという方へのお暇つぶし提供の一つです。
そのうちサイトにあげますので、もしお時間がありましたらどうぞ。M3 す04abのブースで初頒布の
「処方箋アポカリプス」の現在のお話です。

リンクしているのはCD中身と表立っている「ブログ新聞」のゴシップ記事です。
読まなくても問題ありませんが気なる方はこちらからどうぞ。

<ゴシップ記事>
http://apoc.or-hell.com/

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「ヒトって噂話大好きですなぁ」

 そういって男は見ていた画面を閉じて、側にあったコーヒーをすすった。香ばしい香りが部屋中に広がる。雑多な印象を受けるその部屋は、物が大量にあるだけで小奇麗だった。半分は書斎半分は実験室。明確な区切りはないながらもその用途の違いは明らかで、左半分と右半分の部屋の中にあるものはまったく異なっていた。

 近代西洋の技術を終結したような真っ白いラボ。かたや時代劇に出てくるような雅やかな装飾を施した年代物のタンスや机。わざわざ畳をしつらえている辺りに部屋主のこだわりを感じる。
 近代文化の先走りのような江戸末期から明治、大正時代を髣髴するようなその家具の数々の中、妙に違和感を感じるのは大きなモニター2台。最新式のパソコンが起動していた。

 両手を広げてもあまるほどの大きな机にデスクトップ2台を並べ、机の上には年代物と思われるマグと手のひらサイズのクッキー。マグはどこかの焼き物なのか、ずっしりと重そうなそのデザインは無骨ながら手にはしっくりとなじむようで、部屋の主の男性にしては細くしなやかな指先が映える。部屋の主は優雅にブレイクタイムのようで、積み上げられた沢山のポストイットが折り重なった本を手に取りぺらぺらとめくり始めた。

 椅子を倒しクッキーを頬張るその姿は怠惰そのものだが、めくり始めたノートの中身はなかなかに刺激的な記事であふれかえっていた。新聞やゴシップ記事のスクラップが所狭しと並べられている。年代別というわけでもなく、1000年以上前のものものから最近のものまで無造作に貼られている。
 
「んー。このゴシップ記事のニーさんよぉやってたのに惜っしい人材が消えたわー」

 部屋主は一人ごちながスクラップされた一枚の記事を指ではじいた。その主は『暴君』と称されていた一人の王を追っていた稀有な記者。謎の失踪を遂げた彼の死体は未だ行方不明のまま。下界であればどこかで生きているかもしれないなどという想像が出来たかもしれない。しかしここは冥界、誰もそのような楽観的な想像はしなかった。

 法律国家のような体制はあくまでも『下界のヒト』に対しての理であり、その実一人の王の絶対君主国家のような状態が現実だった。この記者はその『絶対君主制』のトップに牙を向いた第一人者。失踪という名の行方不明者がどうなったかなど火を見るより明らかだ。

「ま、今生きてたとしてもゴシップの飯代にもならへんけどな」

 コーヒーを飲み干してスクラップされたノートを投げ出した部屋の主は楽しげに書斎を抜け、ラボへと消えてゆく。かたやお香とたたみの青々とした香り。かたや薬品や薬草の独特の香り。しかし何故か混ざり合うことなく自身の室内のみに留まっている。
 部屋の主は独特の和風衣装の上から白衣を着込み、異国語で書かれた書類に数字を書き込んでいった。目の前のビーカーはバーナーの発する熱でぼこぼこと中身の液体を躍らせている。その隣にあるフラスコの中には、酸化した葉や粉上の何かが少量ずつ入れられていた。三角フラスコの中には真緑の液体が少量。部屋の主は手際よく秤で粉の料を計りながらまた別の容器に移し始める。その顔は先ほどとは違い真剣そのもので、張り詰めてはいないが緊張感のある空気は真っ白なこの部屋に良く似合っていた。

 すぐ側にある大きなホワイトボードには細やかな数式が所狭しと書かれている。その上に先ほど書き込んでいた紙をべたべたと貼り付けてゆくのだ。時に赤、時に青、数値は消しては書き直され書き直されたものの上を塗りつぶされまた新しい数値が書き込まれてゆく。

 そんな光景は3時間ほど続いた。
 この部屋には窓は無い。四季と時間の動きをつかさどる空を見ることはないので、デジタル時計が時を告げる。時間はすでに午前2時を回っていた。

「んー。こんな時間かぁ」

 大きく伸びをして部屋の主は欠伸をしながら白衣を脱ぎ捨てた。一部薬物を棚に入れ、鍵をかける。そのまま和室へ足を伸ばし、真っ赤な女物の着物をリメイクしたと思われる優美な着物を流しで羽織り、ゆるりと弛ませたまま帯を締めた。蝶と小花は金糸で描かれており、華やかなその赤をより美しく魅せる。
 そのまま部屋の主は玄関へと足を伸ばした。着物とは真反対の洋物のブーツを履き、和室には似つかわしくない洋風のドアノブに手をかける。玄関横にある美しい彫を施した靴箱の上に添えられていた鏡に映ったその姿は、着物に負けず美しい。

 涼やかな目元、菫色の髪、化粧ひとつ施さない自然の美しさ。均衡の取れた細身の体は女性物の着物を羽織っても劣ることなく、むしろ着物を食うような色気を有している。
 ダメージジーンズとヴィンテージのブーツは不思議なほどしっくりなじんでいた。

「っといけないいけない。今日はニーさんらと会う前にオシゴトせんとあかんかったわ」



 玄関前で部屋主はひとりごちたあと、目を伏せて唇をかすかに動かした。
 一瞬の出来事だった。

 先ほどまで長身細身の涼やかな男が、小柄で愛らしい少年に変化したのだ。
 服装もあでやかな着物から一変、だぼっとしたズボンにローブ。髪の色こそ変わらないが大きな目と愛らしい表情は明らかに先ほどの男とは違い、子供そのもの。大きな肩掛けかばんをかけ、下界のヨーロッパ地方に伝わるようなかわいらしい帽子のようなもので頭を覆っている。
 身長も50センチほど縮んでしまっただろうか。挿げ替えたかのようにまったくの別人だった。

 少年は鏡を見ながらにぱーと笑い玄関の扉を開けて外へと飛び出していく。

「おしごとーおしごとー!」

 声も、顔と同じようにかわいらしく高らかな声に変化していた。
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